鳥獣保護法をやさしく解説|イタチ駆除の許可・罠・違法になるケース
鳥獣保護法(正式名:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)は、野生の鳥獣を「むやみに捕獲・殺傷させない」ための基本ルールで、イタチ(ニホンイタチ・チョウセンイタチ)も対象に含まれる。自宅の天井裏に入って被害が出ていても、個人が無許可で捕まえたり殺したりすることは原則違法で、できるのは追い出し・侵入口の封鎖・清掃消毒までと考えるのが安全だ。捕獲を伴う対策をしたい場合は、①狩猟の枠組み(狩猟免許+狩猟者登録+狩猟期間・区域の遵守)か、②有害鳥獣捕獲の枠組み(市区町村が発行する期間・区域・方法を限定した許可)に該当させる必要がある。一般家庭の被害対策は多くが②で運用され、申請者は自治体に被害状況(写真・騒音・糞尿・損傷)を提出→許可後に、委嘱された有資格者(わな免許者等)が箱わな等で実施する流れが標準だ。わなを設置する際は標識掲示(許可番号・設置者名等)と毎日の見回りが義務で、非対象動物がかかったときは速やかに無傷で放す。市街地や人家近くでの銃猟は原則不可、爆薬・毒物・電気・ガス・粘着板の使用も禁止・不適切方法にあたる。許可外の設置(私有地内でも同じ)、期間・区域・猟法の逸脱、標識なしや見回り放置、捕獲個体の無断移送・放逐・遺棄は違法になり得るので注意が必要だ。なお「一方向ゲートで外へ逃がす」「光・音・匂いで追い出す」「ステン金網やパンチングメタルで恒久封鎖する」といった非捕獲の作業は通常は法の想定外(=許可不要)だが、幼獣がいる繁殖期の夜間に一斉封鎖して閉じ込めると、結果的に捕獲・致死と同視される事態を招くため避ける。違反リスクの典型は、無許可で箱わな・くくりわなを置く、粘着シートや毒餌で“勝手に処理する”、許可を得ても見回りを怠って衰弱させる、他所へ放して“自然に返す”などだ(放獣も自治体許可が必要なことが多い)。法とは別に動物愛護管理法の趣旨(不必要な苦痛の回避)も踏まえ、捕獲が必要な局面は自治体経由で専門業者や猟友会等の有資格者に委ねるのが妥当である。実務の安全運用は、日中に外周調査→日没前の一時追い出し(強光・人感ライト・短期忌避)→2〜3晩、外方向の出入りを確認→昼間に恒久封鎖→清掃・消毒・防臭→1~2週間の監視、という非捕獲フローを基本とし、どうしても捕獲が必要なら事前に市区町村(環境・農林担当)へ相談して「有害鳥獣捕獲許可」の可否と実施主体を確認する、の順に進めること。自治体条例で追加の規制や罰則が定められている場合もあるため、地域のルールを最上位に確認し、書面(許可書・従事者証・作業計画・報告書)を整えて透明性を確保すれば、違法リスクを避けつつ被害抑止と再侵入防止を両立できる。