ゴボゴボ音・逆流の原因は通気不良?ベント管トラブルの直し方
トイレのゴボゴボ音や逆流が続くとき、原因の本命は排水通気(ベント管)の不良で、排水時に配管内の空気が逃げ道を失い負圧が生じて封水が吸い出され、便器や洗面の水位が上下し臭気が上がるというメカニズムを理解することが復旧の近道になる。兆候は大洗浄の後に数秒遅れて鳴る低い泡音、別室のトラップからも同時に気泡が出る、水面が波立って硫黄臭がする、深夜など水圧が低い時間帯に悪化する等で、詰まりだけを疑ってラバーカップを繰り返すと封水をさらに薄くして逆効果だ。まずバケツテストで配管自体の通水を確認し、屋外枡の水位が正常なら通気側の調査に移る。戸建ては屋根上に立ち上がるベントトップの防虫網やフードの目詰まり、鳥の巣・落ち葉・砂、冬季は結露凍結が典型で、はしご安全確保のうえ軍手とペンチで異物を除去し、網は目の粗いステンレスに交換、フードと雨仕舞の隙間はシリコンで止水して再侵入を防ぐ。立管途中の掃除口に負圧で張り付いたビニール片や工事残材が見つかる例も多く、無理に引き抜けない時は下流から軽洗浄して浮かせてから回収する。マンションは通気が共用部のため管理会社経由で点検を依頼し、屋上トップの閉塞や通気合流部の逆勾配、耐火二層管の継手緩みを優先確認、居室側では洗面台Sトラップや床排水の封水欠落をコップ1~2杯の水で回復させ、全トラップに水が十分ある状態で再現試験を行うと診断が早い。応急にはエアアドミッタンスバルブ(真空ブレーカー)を便器近傍の立上げに仮設して負圧だけを逃がす方法が有効で、部材は3,000~8,000円、工具不要の差し込み式もあり、恒久化する場合は点検可能位置に設置し定期的に膜の動作音を確認する。根治は通気径の不足や長すぎるサイフォン区間の改修で、75mm→100mmへの口径アップ、合流直後に通気立上りを増設、掃除口を追加してメンテ性を確保するのが定石だ。費用の目安は戸建てのベント清掃・点検が2~4万円、屋外高圧洗浄を併用する全館クリーニングで3~5万円、AAV追加は部材+簡易施工で1~2万円、マンションの屋上トップ清掃は管理契約内で無償~数万円と幅がある。避けたい行為は薬剤の大量投入で泡圧を高める、ベント開口をテープで塞ぐ、便器にビニールを貼って強圧をかける、屋根上で単独作業するなどのリスク行動で、配管破損や転落につながる。予防は年1回の屋外枡清掃とベントトップの目視点検、雨樋と通気の合流禁止の徹底、寒冷地はトップに防雪フードと短尺ヒーターを併設、設備図を家庭内で共有してリフォーム時に通気を潰さないこと。ゴボゴボ音は「通気が呼吸できていない」という警告であり、詰まり対応の前に通気を回復させれば逆流は収まり封水も持続する。正しく切り分け、清掃・補修・口径是正・補助通気の順で整えていけば、夜間でも安全に症状を鎮め再発率を大きく下げられる。