ケロイドや盛り上がった傷跡を治すには?形成外科でできること
ケロイドや盛り上がった傷跡に悩んでいる方にとって、形成外科は専門的な治療が受けられる医療機関です。ケロイドとは、傷が治ったあとに赤く硬く盛り上がり、本来の傷の範囲を超えて広がっていく状態を指します。虫刺されや手術の傷、やけどなどがきっかけとなって発症し、かゆみや痛みを伴うこともあります。体質によってできやすい人もおり、一度できると自然には消えにくく、放置すると年単位で悪化することもあります。
形成外科では、このようなケロイドや肥厚性瘢痕(傷の範囲内で盛り上がった状態)の診断と治療を行います。状態によって治療法は異なりますが、基本的には複数の方法を組み合わせて行うのが一般的です。まず行われることが多いのは、ステロイドの外用薬やテープによる保存療法で、炎症を抑えて組織の過剰な増殖を防ぐことを目的とします。これで効果が不十分な場合には、ステロイドの局所注射が行われ、直接ケロイド部分に薬を注入することで炎症を抑え、縮小を図ります。
それでも症状が改善しない、あるいは見た目が気になるという場合は、手術による切除が検討されます。切除後には再発防止のために放射線照射や圧迫療法を併用することがあり、形成外科では術後のフォローアップも含めて長期的な治療計画が組まれます。傷跡を目立たなくするためには、皮膚の緊張を分散する特殊な縫合法や、周囲の皮膚を移動させる皮弁形成術が用いられることもあります。患者の体質やケロイドの部位、広がり具合に応じて最適な方法を提案してもらえる点が、形成外科の大きな強みです。
ケロイドは、単なる「見た目の問題」ではなく、かゆみや痛み、不快感を伴うことで日常生活にも影響を与える症状です。自己判断で市販薬などを使い続けても改善しにくく、むしろ悪化させてしまう場合もあります。だからこそ、専門知識をもった形成外科医による早期の診断と、状態に応じた適切な治療が重要です。気になる傷跡やケロイドがある場合は、一人で悩まず、まずは形成外科に相談することで、改善への一歩が開けるでしょう。見た目の変化だけでなく、不快な症状の軽減や再発防止まで見据えた丁寧な医療が、形成外科では提供されています。