ビル用マルチエアコンとは?仕組みとパッケージエアコンとの違いを解説

「ビルマル」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。ビル用マルチエアコンの略で、中規模以上のオフィスビルや学校、病院などで広く使われている空調設備です。この記事では、ビル用マルチエアコンの仕組みと特徴、店舗でよく使われるパッケージエアコンとの違い、導入時に知っておきたい注意点を整理します。

ビル用マルチエアコンとは

ビル用マルチエアコンは、1台の室外機に多数の室内機をつなぎ、室内機ごとに運転できる空調設備です。屋上などに置いた室外機から、冷媒の配管を建物内に巡らせて各部屋の室内機につなぎます。

冷媒で熱を運ぶ点は一般的なエアコンと同じで、個別空調の一種です。大きな機械室や水の配管を必要とせず、それでいてビル全体をカバーできるのが特徴です。

知っておきたいポイント

1. 部屋ごとに運転や温度を変えられる

同じ室外機につながっていても、室内機は1台ずつ操作できます。会議室だけ運転する、使っていない部屋は止める、部屋ごとに温度を変える、といった使い方が可能です。

室外機は、動いている室内機の数に合わせて運転の強さを調整します。そのため、建物の一部だけを使う時間帯でも無駄が出にくくなっています。

2. パッケージエアコンとの違いは規模と自由度

パッケージエアコンも室内機を複数つなげますが、同じ室外機につながる室内機は一緒に運転するのが基本です。ビル用マルチエアコンは、より多くの室内機をつなげ、それぞれを別々に動かせます。

配管を長く延ばせ、室外機と室内機の高さの差にも対応しやすいため、室外機を屋上にまとめて置けます。室内機も、広さの異なる部屋に合わせて能力や形の違うものを組み合わせられます。

3. 冷房と暖房を同時に使える機種もある

一般的な機種は、同じ室外機につながる室内機すべてが冷房か暖房のどちらかで動きます。一方、部屋ごとに冷房と暖房を選べる「冷暖同時運転」に対応した機種もあります。日当たりのよい部屋とそうでない部屋が混在する建物や、機器の熱で冬でも冷房が必要な部屋がある建物で役立ちます。

4. まとめて管理できる

管理室などに置いた集中管理の装置で、建物全体の運転状況を確認したり、消し忘れを止めたりできます。部屋数の多い建物では、管理の手間を減らす助けになります。

注意点・よくある勘違い

小さな店舗では割高になりやすい

室内機が1台から数台で、一緒に運転すれば足りる場合は、パッケージエアコンのほうが機器も工事も簡単です。ビル用マルチエアコンは、部屋数が多く、使い方がそれぞれ違う建物で力を発揮します。

室外機の不具合は複数の部屋に影響する

1台の室外機に多くの室内機がつながっているため、室外機に不具合が起きると、その系統の部屋すべてに影響が出ます。階やエリアごとに系統を分けておくと、影響の範囲を抑えられます。

換気は別に用意する

ビル用マルチエアコンも、基本的には室内の空気を循環させて温度を整える機器です。外の空気を取り入れるには、全熱交換器などの換気設備を組み合わせます。

冷媒の量が多く、点検の対象になる

配管が長い分、使われる冷媒の量も多くなります。フロン排出抑制法による点検の対象で、機器の規模によっては専門知識を持つ人による定期点検も必要です。

まとめ

  • ビル用マルチエアコンは、1台の室外機で多数の室内機を個別に動かせる空調設備
  • 部屋ごとの運転や温度設定ができ、一部だけ使う時間帯にも強い
  • パッケージエアコンより規模が大きく、配管や機種の自由度が高い
  • 冷暖同時運転に対応した機種もある
  • 小規模な店舗では、パッケージエアコンのほうが合うことが多い

部屋の数と、それぞれの使い方がどれだけ違うかが、方式を選ぶ際の目安になります。

出典:環境省「フロン排出抑制法ポータルサイト」

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